退職したときは、失業保険の申請や年金・国保の加入など、やらなければならない手続きがあります。
- 失業保険の申請:居住地を管轄するハローワークで申請。
- 年金・国保の加入:居住地の役所で加入。
とりわけ、失業保険の制度は、もらえる時期や金額、給付制限、再就職手当など、複雑な仕組みや制限によってわかりにくい印象を持つ人も多いでしょう。
この記事では、自己都合で退職した場合の失業保険について、わかりやすく解説します。
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失業保険のもらい方【何回もらえる?いつから?振込はいくら?】
自己都合退職の失業保険の条件
失業保険の給付において、自己都合の退職となる条件は次のとおりです。
- 自分の意思、一身上の都合による退職。
- 自分の責任による重大な理由による懲戒解雇。
- 定年退職。
- 契約期間の更新を望まない契約満了による退職。
退職の理由・原因が自分側にあるときに、自己都合と判断されます。
また、有期雇用契約の満了や途中解除の場合は、自身に契約更新の意思があるか否かが判断の分かれ目になります。
失業保険をすぐもらうには
仕事を辞めさせられたのに、離職票を見たら自己都合にされたというケースもあります。このような場合はハローワークで、離職理由を会社都合に変更する申立てができます。ただし、会社側の不当解雇を職場の仲間に証言してもらう必要があるなど、手続きはとても面倒です。
自己都合退職の失業保険の制限
自己都合で退職した場合は、次のような制限が設けられています。
- 失業手当の給付において、支給開始までに2ヵ月間の給付制限がある。
- 再就職手当の給付において、給付制限の前半1ヵ月間に再就職した場合の求職活動は職業紹介によるものという制限がある。
失業保険をもらうときに、自己都合で退職すると給付制限があることはよく知られています。
自己都合の場合の給付制限は、現在は2ヵ月です。ただし、最初の失業手当が支給されるのは実際には2ヵ月以上あとになります。
失業保険はいつからもらえるのか
自己都合の場合の給付制限は、以前は3ヵ月でしたが、令和2年10月1日よりから2ヵ月に短縮されました。
しかし、給付制限が2ヵ月だからといっても、最初の失業手当が支給されるのは受給資格決定日から約3ヵ月後になります。
- 待期:1週間(失業状態にあることを確定させる期間)
- 給付制限:2ヵ月(自己都合退職に設けられた制限期間)
- 給付制限明けから認定日:2~3週間(最初の認定期間)
- 認定日から支給日:約1週間(認定の審査にかかる期間)
また、給付制限によって失業手当の支給総額が減ることはありません。給付制限期間の分だけ支給開始が遅れるということです。
自己都合の失業保険の金額
失業手当は、正しくは基本手当といいます。基本手当は、半年分の給与を180日で割って給付率を掛けて算出されます。
基本手当日額 = ( 半年分の給与 ÷ 180日 ) × 給付率50%
こうして算出された基本手当日額の28日分が支給金額となります。
つまり、月額のだいたい半分くらいを毎月の失業手当として支給してもらえます。
自己都合の再就職手当の条件
自己都合の給付制限期間の無収入を懸念して、早めに就職活動を始めたいと考える人も多いでしょう。
待機期間の失業が確定すると求職活動を行えるようになります。ただし、再就職手当をもらいたい場合は、給付制限中の求職活動に制限があります。
その制限とは、給付制限の前半1ヵ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること。
給付制限の後半に入ってしまえば、どんな求職活動をして就職しても再就職手当をもらえます。
職業紹介事業者とは
職業紹介事業者とは、厚生労働大臣から許可番号を得ている事業者のことです。ネットで利用できる転職エージェントなら、例外なく許可を受けています。
自己都合退職の失業保険の給付期間・日数
自己都合で退職した場合に、失業手当が支給される日数は雇用保険加入期間によって決まっています。この日数を所定給付日数といいます。
失業手当の支給総額は、基本手当日額の所定給付日数分ということになります。
失業手当の支給総額 = 基本手当日額 × 所定給付日数
つまり、所定給付日数に達するまで、毎月に分けて失業手当が支給される。ということです。
失業保険の受給可能な期間
失業保険を受給可能な期間は離職日の翌日から1年間です。失業手当を望む場合は、早めに受給資格を申請したほうが良いでしょう。離職日から日が経つにつれて、どんどん受給可能な期間を消化してしまうからです。また、妊娠や出産、育児、病気などの理由があれば受給期間の延長を申請することができます。
自己都合の失業保険の選択肢
- 実家暮らし、または貯蓄がある場合:失業手当をもらう。
- 一人暮らしで貯蓄が無い場合:再就職手当をもらう。
自己都合の退職者を苦しめるのが給付制限の期間です。
最初の失業手当が支給されるまでの3ヵ月分の生活費(家賃、食費、光熱費など)が必要になります。もし1ヵ月の生活費がわからない場合は、家賃の2倍を目安にします。
給付制限の無収入をしのぐために内職や手伝いをすることも可能です。ただし、あまり収入が多いと就業とみなされて受給資格を失います。
- 1日4時間以上の労働は「就労」として申告。
- 1日4時間未満の労働は「内職・手伝い」として申告。
- 週20時間以上の労働になった場合は「就業」とみなされて受給資格を失う。
実家暮らし、または貯蓄がある場合
実家暮らし、または貯蓄がある場合は、失業手当の受給を選ぶことで時間的な余裕を手に入れることができます。
時間をかけてじっくり就職先を探すこともできます。失業保険の受給条件に引っかからない程度に副業的な仕事をすることも可能です。
ただ、失業手当を受給するためには、毎月、原則2回の求職活動を行って実績として申告する必要があります。
一人暮らしで貯蓄が無い場合
一人暮らしで貯蓄が無い場合は、早めに就職活動を始めて再就職手当の支給を狙ったほうが良いでしょう。
再就職手当は、早めに就職すればするほど多く支給されます。
転職エージェントを利用した求職活動であれば、給付制限中の求職活動の制限には引っかかりません。いくつかの転職エージェントに登録しておくと再就職手当をもらえる確度が上がります。
また転職エージェントの利用は、失業手当の受給に必要な求職活動にもなります。
転職エージェントとの相談は求職活動実績
失業保険を受給するための求職活動は、ハローワーク職業相談だけではなく、転職エージェントとの相談も実績になります。エージェントに登録した際の条件面等の相談、企業紹介の際の相談などが求職活動にあたります。
まとめ
- 自己都合となる退職の条件は、退職の理由・原因が自分側にあるとき。
- 自己都合で退職した場合は、失業保険の支給において給付制限がある。再就職手当の支給において給付制限中の求職活動に制限がある。
- 自己都合の場合の給付制限は、以前は3ヵ月だったが、令和2年10月1日よりから2ヵ月に短縮された。
- 最初の失業手当が支給されるのは受給資格決定日から約3ヵ月後。
- 再就職手当には求職活動の制限がある。給付制限の前半1ヵ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること。
- 自己都合で退職した場合に、失業手当が支給される日数は雇用保険加入期間によって決まっている。
- 一人暮らしで貯蓄が無い場合は、早めに就職を決めて再就職手当の支給を狙ったほうが良い。